• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

塗装工事業の倒産が急増、ナフサ供給の陰で ~ 1-4月の倒産、1989年以降で過去4番目 ~

 中東情勢が緊迫するなか、塗装工事業が深刻な事態に追い込まれている。石油化学製品の基礎原料であるナフサの供給への不安は、シンナーを使う建築資材にも影響が出始めている。
 塗装工事業の倒産は、2026年1-4月累計で48件(前年同期比26.3%増、前年同期38件)に達した。1989年以降、2002年の49件に次ぐ4番目の高水準だ。シンナーなど資材価格の高騰や在庫不足が長びくと、塗装工事の受注にも支障を来たすため、年間では過去最多に迫る可能性もある。
 塗料メーカーの多くは、値上げや出荷調整に踏み切り、塗料材料を始めとする各種建材の流通に影響が出ている。
 在庫が豊富で仕入調達ルートを確保する大手系列が受注に優位で、小・零細事業者は受注と在庫の狭間で苦境に立たされている。



 負債1,000万円以上の塗装工事業の倒産を集計した。2026年1-4月は48件に達した。「ゼロゼロ融資」などのコロナ禍の資金繰り支援で倒産が抑制された2021年同期の17件に比べると約3倍(2.8倍)に増えた。2008年、2009年同期は各39件で、すでにリーマン・ショック時を超えている。
 バブル崩壊前の1989年以降の同期比較では、不動産市況が低迷した2000年が61件で最も多く、2001年の53件、2002年の49件に次ぐ高水準となった。

塗装工事業の倒産 年次推移

これまでの業績は好調

 塗装工事業は、活発な住宅需要に支えられ、2025年まで業績は好調だった。主な塗装工事業6,095社の業績は、2025年(1-12月期)の業績は、売上高が1兆4,068億円(前年比5.2%増)、最終利益が486億円(同16.5%増)と直近5期で売上高、利益ともに最高だった。

倒産の増勢強まるおそれ

 好調な塗装工事だったが、職人不足、資材高騰で内情は深刻だった。特に、下請け工事が多い小・零細規模の塗装工事業者は、価格転嫁が容易でなく、相次ぐ息切れで倒産が増えていた。そして、今度は原油不足に端を発した在庫減、シンナーなど塗料材の高騰が追い打ちをかけている。
 手持ち工事も工期遅れやキャンセルも想定される事態だ。さらに、これから工事竣工が増える時期を迎えるだけに、塗装工事業の動向に注意が怠れない。

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

三井住友銀行の「メインバンク取引社数」増加 ~ メガバンクで唯一増加、新設・中小企業向け脚光 ~

東京商工リサーチ(TSR)がまとめた「2026年メインバンク調査」で、三井住友銀行がメガバンクで唯一、社数が増加した。他に先駆けてデジタル総合金融サービスをリリースし、取引社数の増加につなげた。

2

  • TSRデータインサイト

「テレビ番組制作会社」の倒産 過去最多タイ コスト上昇と番組制作の予算削減で苦境

2026年1-8月のテレビ番組制作会社の倒産は14件で、同期間では最多の2010年に並んだ。このペースで推移すると、年間では2009年と2012年の21件を抜き、過去最多を更新する可能性が高まっている。

3

  • TSRデータインサイト

「一人で悩まず、まずは早めの相談を」 ~ 中小企業活性化全国本部 インタビュー ~

中小企業の伴走者として、中小企業活性化協議会の存在感が高まっている。 東京商工リサーチは、全国47都道府県の活性協を支援する中小企業活性化全国本部にインタビュー。再生支援の現場経験も豊富な松田正義氏、佐藤友泰氏、茂木俊裕氏の3名から話を聞いた

4

  • TSRデータインサイト

2026年1-8月の「税金滞納」倒産181件、前年超える 税金滞納が事業再建の障壁、破産が97.7%を占める

2026年8月の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は、26件(前年同月比73.3%増)と大幅に増加、4月から5カ月連続で前年同月を上回った。1-8月累計は181件(前年同期比58.7%増)に達し、8月で前年の年間160件を上回り、納税(納付)に苦慮する企業が多いことを示している。

5

  • TSRデータインサイト

倒産前の「事業譲渡」 コロナ後に高水準 2025年度は213件、旅館,ホテルが最多

主力事業を他社に譲渡した後、倒産手続きに入る「事業譲渡後の倒産」が、2025年度は213件発生した。2024年度は227件で、2年間の平均は220件となり、前回調査(2019年度-2023年度)の同189件を上回り、増勢が続いていることがわかった。

TOPへ